唐突だが私はパイロットになりたかった
本当に唐突だが私はパイロットになりたかった。それも戦闘機の。
30年以上前、私が高校生の頃、まだ頭も今ほどおかしくなっていなくて、喘息でも無く、健康であった。
クラブ活動は水泳などに興じていた。健全であった。
自衛隊に入るには理系だろうと思い、理系コースを選んでいた。
が、ある日、担任から呼び出しを食らう。
原チャリ通学がバレたかとビビりながら職員室に出頭。
唐突に「あなたは色弱だから理系は無理」と言われた。
晴天の霹靂である。
納得いかない私は親父の会社の系列病院で検査を受けた。
なにせ、私は一般生活で何も困っていなかったから。
その病院でも色の点々の文字が判らないのがやはりあった。
先生は「赤緑色弱です」と仰る。
私は赤も緑も判るし困っていないというと
先生は「最初から見分けられていないので自分では判りにくい」と仰る。
がーん。なるほど。
先生は「遺伝だからしょうが無い」と仰る。また、メンデルかよ。
私の見ている世界は普通の人とは違うのか?
気持ち悪いな俺。
そして、何故か私は文系コースになったのであった。古典って何だよ。
なお、今は赤緑色弱でも理系の学部に進学できるようです。
パイロットは駄目、まあ当時もなれるとは思っていなかったけれど、チャレンジすることも出来ない。
何をどう努力しても駄目な物は駄目。
近しい職業に就くことも出来ない。
第二の憧れの職業、新幹線の運転手さんになることも出来ない。
そして、私はつまらないサラリーマンになるのでした。
なお、現在でも赤緑色弱ではパイロットにも電車の運転手にもなれません。
まあ、この後、喘息患者になったり精神障害者保健福祉手帳2級保持者になったりするので、つまらないサラリーマンで良かったのかもしれません。
人の命を預かるような高尚な職業は無理だったということか。
来世に期待しよう。