自死について
私は父と母と妹で構成される家庭で育った。
紆余曲折はあったが、今は母と私と妹の3人で暮らしている。
父は癌で死んだ。手術の後、大学病院には通院していたが腰痛の治療にのみ通い、癌の治療を途中で止めてしまっていた事が死後わかった。
父が何故治療を自主的に止めてしまったのか、今はもう知るすべは無い。
私は父が自死の道を選んだのだと思っている。大変な手術を2回行ない生き抜いたが、やせ細り、威厳を無くした自分を許せなかったのだと思う。
実際、母と喧嘩して負けていたし、酒も飲めなくなり、タバコも家の外で吸うようになった。
生前の父は外面の良い男の典型であった。
会社内では人望も厚く、部下からも信頼されていたようだ。
だが、家に帰れば部屋で平気でタバコを吸いまくり、呼吸器疾患のある私には生活態度が悪いから病気になるんだと私を責め続け、気にくわないことがあれば物に当たり散らし、暴言を吐き、母に暴力を振るい、リバースするまで家で酒を飲んだ。
また、何故か父は自分の兄弟からも嫌われていたようだ。
普通、葬式に行けば泣いている人が一人や二人いるものだが、父の葬儀では母も妹も涙一つ流さなかった。
